民数記23-25、マルコ7:14-37

民数記

第23章

23:1バラムはバラクに言った、「わたしのために、ここに七つの祭壇を築き、七頭の雄牛と七頭の雄羊とを整えなさい」。23:2バラクはバラムの言ったとおりにした。そしてバラクとバラムとは、その祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。23:3バラムはバラクに言った、「あなたは燔祭のかたわらに立っていてください。その間にわたしは行ってきます。主はたぶんわたしに会ってくださるでしょう。そして、主がわたしに示される事はなんでもあなたに告げましょう」。こうして彼は一つのはげ山に登った。23:4神がバラムに会われたので、バラムは神に言った、「わたしは七つの祭壇を設け、祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげました」。23:5主はバラムの口に言葉を授けて言われた、「バラクのもとに帰ってこう言いなさい」。23:6彼がバラクのもとに帰ってみると、バラクはモアブのすべてのつかさたちと共に燔祭のかたわらに立っていた。23:7バラムはこの託宣を述べた。
「バラクはわたしをアラムから招き寄せ、
モアブの王はわたしを東の山から招き寄せて言う、
『きてわたしのためにヤコブをのろえ、
きてイスラエルをのろえ』と。
23:8神ののろわない者を、わたしがどうしてのろえよう。
主ののろわない者を、わたしがどうしてのろえよう。
23:9岩の頂からながめ、
丘の上から見たが、
これはひとり離れて住む民、
もろもろの国民のうちに並ぶものはない。
23:10だれがヤコブの群衆を数え、
イスラエルの無数の民を数え得よう。
わたしは義人のように死に、
わたしの終りは彼らの終りのようでありたい」。
23:11そこでバラクはバラムに言った、「あなたはわたしに何をするのですか。わたしは敵をのろうために、あなたを招いたのに、あなたはかえって敵を祝福するばかりです」。23:12バラムは答えた、「わたしは、主がわたしの口に授けられる事だけを語るように注意すべきではないでしょうか」。
23:13バラクは彼に言った、「わたしと一緒にほかのところへ行って、そこから彼らをごらんください。あなたはただ彼らの一端を見るだけで、全体を見ることはできないでしょうが、そこからわたしのために彼らをのろってください」。23:14そして彼はバラムを連れてゾピムの野に行き、ピスガの頂に登って、そこに七つの祭壇を築き、祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。23:15ときにはバラムはバラクに言った、「あなたはここで、燔祭のかたわらに立っていてください。わたしは向こうへ行って、主に伺いますから」。23:16主はバラムに臨み、言葉を口に授けて言われた、「バラクのもとに帰ってこう言いなさい」。23:17彼がバラクのところへ行って見ると、バラクは燔祭のかたわらに立ち、モアブのつかさたちも共にいた。バラクはバラムに言った、「主はなんと言われましたか」。23:18そこでバラムはまたこの託宣を述べた。
「バラクよ、立って聞け、
チッポルの子よ、わたしに耳を傾けよ。
23:19神は人のように偽ることはなく、
また人の子のように悔いることもない。
言ったことで、行わないことがあろうか、
語ったことで、しとげないことがあろうか。
23:20祝福せよとの命をわたしはうけた、
すでに神が祝福されたものを、
わたしは変えることができない。
23:21だれもヤコブのうちに災のあるのを見ない、
またイスラエルのうちに悩みのあるのを見ない。
彼らの神、主が共にいまし、
王をたたえる声がその中に聞える。
23:22神は彼らをエジプトから導き出された、
彼らは野牛の角のようだ。
23:23ヤコブには魔術がなく、
イスラエルには占いがない。
神がそのなすところを時に応じてヤコブに告げ、
イスラエルに示されるからだ。
23:24見よ、この民は雌じしのように立ち上がり、
雄じしのように身を起す。
これはその獲物を食らい、
その殺した者の血を飲むまでは身を横たえない」。
23:25バラクはバラムに言った、「あなたは彼らをのろうことも祝福することも、やめてください」。23:26バラムは答えてバラクに言った、「主の言われることは、なんでもしなければならないと、わたしはあなたに告げませんでしたか」。23:27バラクはバラムに言った、「どうぞ、おいでください。わたしはあなたをほかの所へお連れしましょう。神はあなたがそこからわたしのために彼らをのろうことを許されるかもしれません」。23:28そしてバラクはバラムを連れて、荒野を見おろすペオルの頂に行った。23:29バラムはバラクに言った、「わたしのためにここに七つの祭壇を築き、雄牛七頭と、雄羊七頭とを整えなさい」。23:30バラクはバラムの言ったとおりにし、その祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。

第24章

24:1バラムはイスラエルを祝福することが主の心にかなうのを見たので、今度はいつものように行って魔術を求めることをせず、顔を荒野にむけ、24:2目を上げて、イスラエルがそれぞれ部族にしたがって宿営しているのを見た。その時、神の霊が臨んだので、24:3彼はこの託宣を述べた。
「ベオルの子バラムの言葉、
目を閉じた人の言葉、
24:4神の言葉を聞く者、
全能者の幻を見る者、
倒れ伏して、目の開かれた者の言葉。
24:5ヤコブよ、あなたの天幕は麗しい、
イスラエルよ、あなたのすまいは、麗しい。
24:6それは遠くひろがる谷々のよう、
川べの園のよう、
主が植えられた沈香樹のよう、
流れのほとりの香柏のようだ。
24:7水は彼らのかめからあふれ、
彼らの種は水の潤いに育つであろう。
彼らの王はアガグよりも高くなり、
彼らの国はあがめられるであろう。
24:8神は彼らをエジプトから導き出された、
彼らは野牛の角のようだ。
彼らは敵なる国々の民を滅ぼし、
その骨を砕き、
矢をもって突き通すであろう。
24:9彼らは雄じしのように身をかがめ、
雌じしのように伏している。
だれが彼らを起しえよう。
あなたを祝福する者は祝福され、
あなたをのろう者はのろわれるであろう」。
24:10そこでバラクはバラムにむかって怒りを発し、手を打ち鳴らした。そしてバラクはバラムに言った、「敵をのろうために招いたのに、あなたはかえって三度までも彼らを祝福した。24:11それで今あなたは急いで自分のところへ帰ってください。わたしはあなたを大いに優遇しようと思った。しかし、主はその優遇をあなたに得させないようにされました」。24:12バラムはバラクに言った、「わたしはあなたがつかわされた使者たちに言ったではありませんか、24:13『たといバラクがその家に満ちるほどの金銀をわたしに与えようとも、主の言葉を越えて心のままに善も悪も行うことはできません。わたしは主の言われることを述べるだけです』。24:14わたしは今わたしの民のところへ帰って行きます。それでわたしはこの民が後の日にあなたの民にどんなことをするかをお知らせしましょう」。24:15そしてこの託宣を述べた。
「ベオルの子バラムの言葉、
目を閉じた人の言葉。
24:16神の言葉を聞く者、
いと高き者の知識をもつ者、
全能者の幻を見、
倒れ伏して、目の開かれた者の言葉。
24:17わたしは彼を見る、しかし今ではない。
わたしは彼を望み見る、しかし近くではない。
ヤコブから一つの星が出、
イスラエルから一本のつえが起り、
モアブのこめかみと、
セツのすべての子らの脳天を撃つであろう。
24:18敵のエドムは領地となり、
セイルもまた領地となるであろう。
そしてイスラエルは勝利を得るであろう。
24:19権を執る者がヤコブから出、
生き残った者を町から断ち滅ぼすであろう」。24:20バラムはまたアマレクを望み見て、この託宣を述べた。
「アマレクは諸国民のうちの最初のもの、
しかし、ついに滅び去るであろう」。24:21またケニびとを望み見てこの託宣を述べた。
「お前のすみかは堅固だ、
岩に、お前は巣をつくっている。
24:22しかし、カインは滅ぼされるであろう。
アシュルはいつまでお前を捕虜とするであろうか」。24:23彼はまたこの託宣を述べた。
「ああ、神が定められた以上、
だれが生き延びることができよう。
24:24キッテムの海岸から舟がきて、
アシュルを攻めなやまし、
エベルを攻めなやますであろう。
そして彼もまたついに滅び去るであろう」。24:25こうしてバラムは立ち上がって、自分のところへ帰っていった。バラクもまた立ち去った。

第25章

25:1イスラエルはシッテムにとどまっていたが、民はモアブの娘たちと、みだらな事をし始めた。25:2その娘たちが神々に犠牲をささげる時に民を招くと、民は一緒にそれを食べ、娘たちの神々を拝んだ。25:3イスラエルはこうしてペオルのバアルにつきしたがったので、主はイスラエルにむかって怒りを発せられた。25:4そして主はモーセに言われた、「民の首領をことごとく捕え、日のあるうちにその人々を主の前で処刑しなさい。そうすれば主の怒りはイスラエルを離れるであろう」。25:5モーセはイスラエルのさばきびとたちにむかって言った、「あなたがたはおのおの、配下の者どもでペオルのバアルにつきしたがったものを殺しなさい」。
25:6モーセとイスラエルの人々の全会衆とが会見の幕屋の入口で泣いていた時、彼らの目の前で、ひとりのイスラエルびとが、その兄弟たちの中に、ひとりのミデアンの女を連れてきた。25:7祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスはこれを見て、会衆のうちから立ち上がり、やりを手に執り、25:8そのイスラエルの人の後を追って、奥の間に入り、そのイスラエルの人を突き、またその女の腹を突き通して、ふたりを殺した。こうして疫病がイスラエルの人々に及ぶのがやんだ。25:9しかし、その疫病で死んだ者は二万四千人であった。
25:10主はモーセに言われた、25:11「祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスは自分のことのように、わたしの憤激をイスラエルの人々のうちに表わし、わたしの怒りをそのうちから取り去ったので、わたしは憤激して、イスラエルの人々を滅ぼすことをしなかった。25:12このゆえにあなたは言いなさい、『わたしは平和の契約を彼に授ける。25:13これは彼とその後の子孫に永遠の祭司職の契約となるであろう。彼はその神のために熱心であって、イスラエルの人々のために罪のあがないをしたからである』と」。
25:14ミデアンの女と共に殺されたイスラエルの人の名はジムリといい、サルの子で、シメオンびとのうちの一族のつかさであった。25:15またその殺されたミデアンの女の名はコズビといい、ツルの娘であった。ツルはミデアンの民の一族のかしらであった。25:16主はまたモーセに言われた、25:17「ミデアンびとを打ち悩ましなさい。25:18彼らはたくらみをもって、あなたがたを悩まし、ペオルの事と、彼らの姉妹、ミデアンのつかさの娘コズビ、すなわちペオルの事により、疫病の起った日に殺された女の事とによって、あなたがたを惑わしたからである」。


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